どの契約の取引においても、参入前に、損益の計算方法を理解することは重要です。損益を正確に計算するために順を追って解説してきます。
1) ポジションの平均参入価格(AEP、アベレージ・エントリー・プライス)
3) 実現損益
1)ポジションの平均参入価格(AEP、アベレージ・エントリー・プライス)
Bybitでは、トレーダーが新しい注文を介してポジションを追加するたびに、AEPが変更されます。
例:トレーダーAは、参入価格5000ドル、ポジションサイズ0.5のBTCUSDTロングポジションを保持しています。1時間後、トレーダーAは、参入価格6,000でポジションサイズ0.3の買い注文によってポジションを増やすことにしました。
以下に、AEPの式と計算手順を示します。
AEP(平均参入価格) = ポジションの合計契約価額(USDT)/ポジションの合計契約サイズ
ポジションの合計契約価額(USDT) = ( (契約サイズ1 x 価格1) + (契約サイズ2 x 価格2)...)
上記の式を使用して以下のように計算できます:
合計契約価額(単位:USDT)
=((契約サイズ1 x価格1)+(契約サイズ2 x価格2))
=((0.5 x 5000)+(0.3 x 6000))
= 4300
合計契約サイズ
= 0.5 + 0.3
= 0.8 BTC
AEP(平均参入価格)
= 4300 / 0.8
= 5375
注文が正常に執行されると、ポジションとその未実現損益がポジション欄でリアルタイムに更新され表示されます。
ポジションの売買方向によって、未実現損益を計算するために使用される式は異なります。
ロングポジションの場合:
例:トレーダーBは、契約サイズ0.2のBTCUSDTロングポジションを保持しており、参入価格は7000ドルです。取引板で確認できる最終取引価格が7500ドルを示している場合、表示されている未実現損益は100 USDTです。
未実現損益 = 契約サイズ x (最終取引価格 - 参入価格)
= 0.2 x (7500 - 7000)
= 100 USDT
ショートポジションの場合:
例:トレーダーCは、参入価格USD 6000、契約サイズ0.4のBTCUSDTショートポジションを保持しています。取引板で確認できる最終取引価格がUSD 5,000を示している場合、表示される未実現損益は400 USDTになります。
未実現損益 = 契約サイズ x (参入価格 - 最終取引価格)
= 0.4 x ( 6000 - 5000)
= 400 USDT
注意点:
a)USDT契約では、損益もUSDTで決済されます。これは、取引されるコインが決済通貨となるインバース型契約とは異なります。(例:BTCUSDインバース型契約の決済通貨ははBTCです。)
b)ポジション契約サイズが1 BTCであると想定して、価格変動が収益性または非収益性の方向で特定の価格幅(例:USD 1000)動いた場合、これはトレーダーがそれぞれUSD 1000を獲得または喪失することを意味します。
c)レバレッジを増やしても、利益/損失が直接増加するわけではありません。代わりに、利益と損失はポジションサイズと価格変動によって決定されます。
- レバレッジが高いほど、必要証拠金は少なくなります。
- 契約数量が大きいほど、損益は増幅されます。
- 参入価格と決済価格の差が大きいほど、損益は増幅されます。
d)デフォルトの未実現損益は、最終取引価格に基づいて表示されます。図の上にマウスカーソルを合わせると、未実現損益が変更され、マークプライスに基づいて未実現損益が表示されます。
e)最後に重要なことですが、未実現P&Lは、ポジションを開設および保持する過程でトレーダーが受け取った/支払った可能性のある取引または資金調達手数料を考慮に入れていません。
2A) 未実現損益率
未実現損益率は基本的に、ポジションの投資収益率(ROI、リターン・オン・インベストメント)をパーセント形式で示しています。 未実現損益と同様に、この数値も最終取引価格の動きによって変動します。 未実現損益率(ROI)の数式は次のとおりです。
未実現損益率(%) = [ ポジションの未実現損益 / ポジション証拠金 ] x 100%
ポジション証拠金 = 必要証拠金 + 決済取引手数料
例:トレーダーBは、契約サイズ0.2のBTCUSDTロングポジションを保持しており、参入価格は7000ドルです。取引板で確認できる最終取引価格が7500ドルを示している場合、表示される未実現損益は100 USDTになります。 使用されるレバレッジが10倍であると仮定します。
以前の計算に基づいて、ポジションの未実現損益は100 USDT
必要証拠金=(契約サイズx参入価格)/レバレッジ=(0.2 x 7000)/ 10 = 140 USDT
決済取引手数料=破産価格x契約サイズx 0.06%= 6300 x 0.2 x 0.06%= 0.756 USDT
未実現損益率= [100 USDT /(140 USDT + 0.756 USDT)] x 100 = 71.05%
注意点:
a)誤解されている場合があるのですが、レバレッジの増加は損益の増加に影響しません。 ただし、レバレッジの増加はポジション証拠金を下げるため、損益率が増加します。 再び上記トレーダーBを例にとると、レバレッジが5倍、10倍、20倍のいずれであっても、未実現損益は同じままですが、未実現損益率が変動します。
- レバレッジ 5x の場合、未実現損益= 100USDT, 未実現損益率 = 35.62%
- レバレッジ 10x の場合、未実現損益= 100USDT, 未実現損益率 = 71.05%
- レバレッジ 20x の場合、未実現損益= 100USDT, 未実現損益率 = 141.33%
b)クロスマージンモードの場合、ポジション証拠金は特定のコインに設定されているレバレッジに基づいて計算されます。
トレーダーが最終的にポジションを決済すると、損益が実現され、[資産]ページの[実現損益]タブに記録されます。 未実現損の計算方法とはいくつかの大きな違いがあります。 以下は、未実現損益と実現損益の違いをまとめたものです。
未実現損益 | 実現損益 | |
ポジションの損益 (P&L) | 含まれる | 含まれる |
取引手数料 | 含まれない | 含まれる |
資金調達料 | 含まれない | 含まれる |
したがって、ポジション全体が完全に解消された場合、解消されたポジションの実現損益を計算する式は次のようになります。
実現損益 = ポジションの損益 - 参入取引手数料 - 決済取引手数料 - 資金調達料
例としてトレーダーCを使用します。トレーダーCは、参入価格USD 6000、契約サイズ0.4のBTCUSDTショートポジションを保持しています。取引板で確認できる最終取引価格がUSD 5,000を示している時、トレーダーCはポジションを決済することにしました。トレーダーCは参入、決済、ともに成行注文を使用しました。トレーダーCがポジションを保有している間、合計2.1USDTの資金調達料を支払いました。
以前の計算に基づいて、ポジションの損益は400 USDTの利益でした。
参入取引手数料=契約サイズx参入価格x 0.06%= 1.44 USDT(支払い)
決済取引手数料=契約サイズx決済価格x 0.06%= 1.2 USDT(支払い)
支払った/受け取ったすべての資金調達料の合計= 2.10 USDT(支払い)
実現損益= 400-1.44-1.2 -2.10 = 395.26 USDT
注意点:
a)上記の例は、参入時、決済時にポジション全体が単一の注文を介して行われた場合です。
b)ポジションを部分的に決済した場合、実現損益は、部分的に決済されたポジションの割合に応じてすべての手数料(取引手数料と資金調達料)を比例計算し、比例配分された数値を使用して実現損益を計算します。